驚きの『だ液』パワー

NHK2008年8月27日ためしてガッテン「虫歯が自分で治せる!?目からうろこの虫歯の新常識!!」より

歯磨き.jp

驚きの『だ液』パワー

NHK2008年8月27日ためしてガッテン「虫歯が自分で治せる!?目からうろこの虫歯の新常識!!」
『驚きの『だ液』パワー』
のコーナーでは、だ液が歯に及ぼす好影響が紹介されていました。
だ液のフシギな力とは?
その力を活かすための生活習慣・食習慣とは?
要点をまとめてお届けします。

だ液による歯の再石灰化

食事をすると、口の中の酸を生み出す細菌が少しずつ歯を溶かしているのですが、
これを修復する働きをしているのが『だ液』で、歯にカルシウムを与えます。
この現象を「再石灰化」と言います。

虫歯には、見た目は白い歯なのに、内部が虫歯になっている
「ホワイトスポット(歯の内部が虫歯菌に溶かされて結晶構造が乱れて白く見える)」
という隠れ虫歯(症状的には軽い虫歯)と言える現象がありますが、
このホワイトスポットがある人工の隠れ虫歯を
1日4時間以上だ液に触れされる実験においては、
2週間後には歯の内部が回復し、ホワイトスポットが治っていました。

このだ液による歯の再石灰化の力は強く、
細菌の塊である歯垢でさえも固めてしまいます。
いわゆるこれが『歯石』なのですが、
歯石は歯周病の原因になるので取り除くべきものですが、
歯石ができやすい人というのは、見方を変えればだ液パワーが強い人
(=だ液による歯の再石灰化力が強い人)
ということでもあるわけです。

また、だ液にはカルシウムに加えてリンやフッ素などの歯と同じ成分が含まれており、
だ液のことを別名「液体エナメル質」と呼ぶ。
ただし、だ液で治る可能性があるのは「隠れ虫歯」の段階までで、
表面が崩れて穴になった虫歯はだ液の力で治すことはできません。

口の中を酸性から中性にするだ液の働き

食事をすると口の中が酸性に傾き虫歯になりやすい状態になるわけですが、
これを中性にして口の中を虫歯になりにくい状態にするのもだ液の力です。
オレンジジュースを飲む実験では、飲んだ直後は酸性になっていた口の中が、
わずか数秒後には奥歯の側面が中性になっていたのです。

これは、「だ液腺」が上の奥歯の近くにあることで、
分泌されただ液が触れる奥歯の側面が中和されて中性になったということ。
しかし、だ液腺から遠くだ液が触れにくい前歯については30分後でも酸性のままでした。
このことから、口の中でも虫歯になりやすい歯となりにくい歯があることがわかります。
同じ奥歯でも、かみ合わせ面は入り込んだ溝があるのでだ液が届きにくく、
虫歯になりやすい場所の一つです。

だ液の働きを活かす食生活

食後30分間は口の中が酸性に傾きやすい歯が溶ける時間ですが、
その後のだ液パワーにおける歯を治す時間があるために歯は維持されています。
ということは、虫歯を作らないためには歯を溶ける時間を少なくし、
治す時間を多くすればいいということになるのです。
そのための対策は・・・

間食の回数を減らす

オレンジジュースの実験でもわかるように、
食べる量を問わず、食後は口の中が酸性に傾き歯が溶けやすい状態となります。
そのため、間食回数を控え、食事の回数を少なくすることが歯のためになります。

就寝前に食事をしない

口の中を中性にしたり歯を修復する力を持つだ液ですが、
就寝中はだ液の分泌が少なくなります。
そのため、就寝前に飲食をしてそのまま寝てしまうと、
長時間酸性の状態となって歯によくありません。
うがいをすれば?という実験では、口の中の酸を中和することができませんでした。

毎日歯磨きをする

歯磨きは、口の中の細菌を減らすのに有効です。
細菌が多いと口の中が酸性になりやすいということで、
その結果虫歯になりやすくなってしまいます。
当たり前ですが、やはり歯磨きが虫歯予防には一番です!

「虫歯=すぐ削る、すぐ詰める」が変わる!?

以上のように、だ液には虫歯の進行を遅らせる働きがあることから、
番組で取り上げられていた歯科医師のように、虫歯の程度(※)によっては、
すぐに歯を削るようなことはせず、定期的なメンテナンスや観察により、
本来の歯を保つ方向で治療を行うという歯科医師も増えているということで、
つまりは「早期発見・長期観察」という新しい治療スタイルが生まれてきたということです。