歯の治療 値段が謎だ「どうなってるの歯医者の値段」

テレビ東京2008年(平成20年)3月16日トコトンハテナから

歯磨き.jp

歯の治療 値段が謎だ「どうなってるの歯医者の値段」

テレビ東京2008年(平成20年)3月16日トコトンハテナという番組で、
歯の治療にかかる値段はどうやって決まっているのか?
歯医者によっての違いはどうなっているのか?
ということが取り上げられていました。

あらすじは、虫歯のある番組AD26歳男性が実際に2件の歯医者(1件はごく普通の街の歯医者。もう1件は丸の内にある豪華な歯医者。)に行って診察 を受けつつ疑問点や料金について率直に歯科医に直接質問をしながら、歯医者の値段のしくみなどを学ぶというものです。

※参考:都内歯科診療所は6万7,869箇所(平成18年11月末厚生労働省調べ)
数で言うとコンビニのおよそ1.5倍になります。

※関連ページ
歯科治療費「相場」を知れば納得
歯科医院(お役立ちリンク案内)

1件目・・・ふつうの歯医者での診察

1件目は千葉健柏市の歯医者です。
待合室には絵本があり、診察台が4席という一般的な歯医者です。

歯科医「どこが痛い?」
AD「奥歯が痛いです。」

歯の状態を目で見てチェックしています。

歯科医「レントゲンを取ってみないとわからないね。
おそらくもう神経を取らないとダメかなあ。」

虫歯の状態を知るために、特に痛むという場所をレントゲンで撮影します。
歯科医「バイ菌などが繁殖しないように、そこにきちっと薬をつめて、建物で言うと地盤をきちんと固めるような治療をして、それから歯をかぶせるという流れになります。」

ここで保険診療についての説明

歯医者で治療を行なう場合、健康保険内の治療か、健康保険外の治療かを選択することができます。

AD「お金無いんですけど・・・」
歯科医「そういう事だったら保険(内)しかチョイスが無いわけだから・・・」

健康保険内外の選択の考え方

保険内か保険外か、どうやって選べばよいのでしょうか?

歯科医「保険にするかどうか、尺度がいろいろあるわけです。
ある人は見た目はどうでもいいから噛めればいい。
保険でもきちんと治療すれば十分持ちます。

ただ、笑った時に見えるのがイヤだ・・・というようなら、
歯と同じような色できちっとやったほうがいい。

それぞれの患者さんの尺度・希望は違うわけなので、
我々はそれに合わせて治療していくということです。」

健康保険外のかぶせ物10万円

レントゲンフィルムで患部の説明をしています。

歯科医「5番目の歯なので、笑ったときに見える・・・
お金があればセラミックみたいのでかぶせた方が良いのでしょうけど。」

AD「お金無いんですけどセラミックみたいな・・・」
歯科医「それは、ベンツをただでくれと言っているようなもの!」
AD「じゃあ保険で・・・」

この日は今後の治療のための検査をしただけで終了。

初診の料金(1件目)

国民健康保険に加入しているADさん。
保険点数735点で3割負担なので2,210円の請求となりました。
なお、点数は1点10円で診療項目ごとに点数がことなります。
今回の内訳は次の通り。

保険内外診療の違い(日本歯科新聞社編集長の話)

「元々は保険診療では認められていない金属や材料を使うというモノの違いに過ぎないので、本来はそれほど大きな差はできてこないハズ。 しかし、技術料という形で先生方が事由に価格を設定されるものですから、価格が大きく違うということ。」

保険内外の中間くらいのものはないのか・・・?

「保険診療と保険外診療を混ぜて診療してはいけないということになっているので、現在では完璧に保険でやるか保険外でやるか選択しなければいけない」

2件目・・・ゴージャス歯医者での診察

2件目は東京丸の内のインテリジェントビルの中の歯科医です。
待合室にはゴッホの絵の本。オシャレで落ち着いた雰囲気で、壁には各種賞状がズラリ。
診察室は黒を基調にしたインテリアでまとめられた個室。
パソコンも歯科衛生士さんの制服も黒。
ADさんは雰囲気にのまれ気味です。

歯科医「今日はどうされましたか?」

まず、約7分間もの問診から始まります。
歯の状態から歯の磨き方、血圧など17項目にのぼる質問です。

歯科医「虫歯になるというのは、慢性的な生活習慣病の一部ととらえますので・・・」

ここで口内をチェックに入ります。
エステのように顔にタオルを巻き、歯の検査。
次いで、歯全体のレントゲン撮影を行ないます。

撮影後、あっという間にパソコンに歯のデジタル画像が送られてきて、虫歯の部位を拡大して歯の状態を説明します。 さらに胃カメラのような最新機器で、虫歯の部位を写しながら説明を行ないます。

健康保険外のかぶせ物(奥歯)12万円

番組「セラミックのような保険外だと・・・」
歯科医「保険外のかぶせ物は12万円です。」
AD「お金が無いんですけれども・・・」
歯科医「噛むという機能という面では問題なく使うことができます。」
AD「保険で・・・」

ADさんが勇気を出して聞いてみた(私は聞けない!)

AD「僕みたいなお金の無い人がこういうところに来るのは先生にとってはあまりよろしくないのでしょうか?」
番組「お金持ちが来るところですもんねー」
歯科医「そうであると助かります。
オフィスが上にあるので本当に一般の方も多くいらっしゃるんです。
ここは保険の医療機関なので、(保険内診療を)当然やる義務があると思っているのでお受けしています。」
番組「今の感じ、あまりのり気じゃないですねー!
ここ家賃すごく高いと思うんです。
全員が保険内診療で来た場合、厳しいんじゃないかと思うんですけどどうですか?」
歯科医「無理だと思います。」

初診の料金(2件目)

国民健康保険に加入しているADさん。
保険点数880点で3割負担なので2,640円の請求となりました。
今回の内訳は次の通り。(下記は一部)

医学管理料は、全体的な治療プランの話や生活習慣病を改善していくための管理について話をしたことによるものです。 画像診断は、歯の全体を撮影したことにより1件目よりも割高となっています。

保険内治療ならばどこの歯医者でも同じ

保険内の治療であれば、治療の仕方による料金の差というものはあるものの、同じ治療に対しては同じ料金が加算されます。 立地や豪華さがどうとかは関係ありません。

デジタルとフィルムのレントゲン一長一短

1件目では一般的なフィルムのレントゲン、2件目ではデジタルのレントゲンが用いられました。

日本歯科新聞社編集長「デジタルのレントゲンだからよくてフィルムだからよくないということではないんですね。 デジタルは画像を大きくしたりとか説明するには良いのですが、ドクターが診断するという面においては、 初期の虫歯が見えなかったりとか、歯周疾患が実際よりも元気に写ってしまうということで誤診することもありうる。」

なるほど、なんとなくデジタルの方が最新のイメージで良いのかと思いきや、フィルムの方が優れている点もあるということのようです。

歯医者選びの基準は?

日本歯科新聞社編集長「そもそも保険であるか材料の問題よりも、自分の天然の歯を守ってくれるような歯医者に行きたいです。」

保険内の差し歯と保険外の差し歯

最後は保険内と保険外の差し歯についての豆知識です。
まず、差し歯を材質的に高い順に並べてみたのが次になります。
※都内某歯科医院価格

唯一の保険内の差し歯であるプラスチックは、長年使用していると変色したり削れたりするということですが、格段に値段が安いです。 そのプラスチックの差し歯は、いったいどのように作っているのでしょうか?

保険内の差し歯

1本あたり数千円という保険内の差し歯。
番組では、関西一円の患者の差し歯を作っているという、香川県高松市にある「和田精密歯研株式会社 クラウンセンター」の工場を撮影。

70人もの技工師が、分業作業で1日300人分もの差し歯を作成。歯はかみ合わせが一人ひとり違うので、作業は手作業で一つ一つ丁寧に調整する必要があります。 作業工程は次の通り。

プラスチックの差し歯も保険外の差し歯も表から見れば違いが分からないものの、プラスチック差し歯の方は白くしているのは表面だけなので、 裏から見ると土台の金属がはっきりわかるようになっています。保険なので、この辺は厳格なのですね。

保険外の差し歯

1本10万円もする保険外の差し歯。
番組では、都内にある小じんまりした工場「和田精密歯研 東京工場」を撮影していました。

こちらでは首都圏の歯科医からの注文に応じて18人の技工師が1月に40~50人の保険外の差し歯を作っています。 作業の精密度を高めるために、拡大レンズを使う点は、保険内の差し歯の工場とは違うところです。作業工程は次の通り。

保険外の差し歯の補足

保険外の差し歯の中には海外で安く作られたものもあり、最近ではその数が増加しているということです。 また、それら差し歯は「雑貨」扱いで輸入されてくるため、国の検査も素通りだとか・・・。

関連:2008年3月14日には、『米国歯科技工所協会(NADL)が中国で製作された義歯修復物から「危険なレベルの鉛が発見された」と報告 ~青森県保険医協会歯科部は「海外技工物に関しては、法律上の制約も行政上のチェックもないままに行われており、安全性の面から大きな問題がある」と警告している。』 というニュースもありました。