根元の虫歯 高齢者はご用心「根面う蝕」

読売新聞夕刊2008年8月15日歯科医つれつれ記「根元の虫歯 高齢者はご用心」より

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根元の虫歯 高齢者はご用心

読売新聞夕刊2008年8月15日歯科医つれつれ記「根元の虫歯 高齢者はご用心」(安田登先生)では、
高齢になるほど発生する傾向があるとされる、歯の根元の虫歯「根面う蝕(こんめんうしょく)」について、
概要と予防方法などが掲載されていました。高齢化社会となり、最近結構問題となっているというこの根面う蝕は、
『歯科医師から言わせれば、治療処置が難しいので十分な成果が期待できないのも問題である』という厄介なもの。
当新聞情報を元に根面う蝕について調べてみました。

関連ページ
歯茎(お役立ちリンク案内)

根面う蝕とは

まずは、根面う蝕の画像がある2つのサイトから見てみます。
根面う蝕の画像その1(「歯と口の健康を守ろう会」お口の悩みQ&Aより)
根面う蝕の画像その2(「訪問歯科医さん」教えて歯医者さん『お年寄りの虫歯に注意して!』より)

この画像のように、歯の根元部分にできるむし歯を根面う蝕といいます。
これは、歯茎が後退するほどなりやすい虫歯です。

なぜなら歯には通常エナメル質という歯の表面を守るよろいがあるのですが、
歯茎が後退してでてきた歯の根元の象牙質の部分は・・・
『むき出しになった根の部分はエナメル質に比べて軟らかいため、
むし歯になり易く、しかも進行が早い。』からです。
(『』は引用。以下同)

また、『歯茎の下に隠れたままむし歯になることも多く、
なかなか自分では確認できず、
歯周病の治療で歯茎が引き締まってきて、
はじめてその存在が分かるなんてこともある。』
ということなので厄介なむし歯です。

加齢と共に下がる歯茎

そもそも、歯茎は加齢と共に下がっていきます。
そのしくみとは、

『むし歯が減り、歯周病に対しても治療法が進んだお陰で、
高齢になっても歯を失わない人が増えてきた。
それはそれで素晴らしいことだが、
以下に歯周病対策が進んだといっても、
程度の差こそあれ年齢と共に歯周病も少しずつは進行していく。
その結果、歯茎が下がって、普段は隠れて見えない根の部分が露出してくる。
皆さんがよく言う、歯が長くなってきた状態だ。』

※加齢以外にも、間違った歯磨きによって歯茎が後退することがあります。
テレビ朝日2008年11月11日たけしの本当は怖い家庭の医学「間違った歯の手入れスペシャル」では、
間違った歯磨きによって歯茎が後退した人の実例が物語風に放映されていました。
関連ページ:間違った歯の手入れ

このことを考えると、
高齢者で、さらに間違った歯磨きをしていると危険性が増すと言えるのではないでしょうか。
昔の小学校の歯磨き指導などは、今のように小刻みに動かすやり方よりも、
シャカシャカ動きのある磨き方が主だったように思うので・・・

歯に被せ物をしている人は要注意?

年を取って歯茎が下がると根面う蝕になりやすいというのはわかりましたが、
被せ物をしている人は、さらに注意が必要かもしれません。

コチラのサイトより抜粋。
http://www.hyoron.co.jp/in/back_/point/poin2002/poin0203.html
『根面う蝕は,歯周疾患に罹患した歯が歯肉退縮を起こし,歯根面が露出した結果発生すると考えられている。
しかし,補綴物に接した根面う蝕の発生率は,単に根面が露出した歯より高いことが報告されている。』

補綴物(ほてつぶつ)とは歯の詰め物や被せ物のことを言います。
千葉市歯科医師会の「補綴物と定期健診」のページには、
4つ(被覆冠、ブリッジ、局部床義歯、全部床義歯)の補綴物の写真と説明があります。

根面う蝕の予防

年を取れば、歯に詰め物や被せ物の一つや二つは当然あるはず・・・
結局のところ、意識的に予防するしかないわけで、

『予防が難しいといっても、
むし歯であることには変わりはないから、
食生活をはじめとした正しい生活習慣を守り、
むし歯を引き起こす細菌の塊(プラーク)をきちんと除去することを心がける。
そのためには、
歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具は不可欠だ。
あとは半年に1度、歯科医院に行って
定期健診と徹底したクリーニングを受けることが大切だ。』

また、下記サイトには「フッ素によって歯面の耐う蝕性を向上させる方法」も掲載されています。
根面う蝕の治療と予防法(「訪問歯医者さん」の教えて歯医者さんより)
ただ、『フッ素にだけ頼るのは間違いであり、あくまでプラークコントロールが第一であることを忘れないでください。』
と指摘されているとおり、やはりプラークコントロールが予防のメインだということです。